森見登美彦/夜は短し歩けよ乙女

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

著者の小説は初読。

結構周囲で読んでいる人が多かったし(特に京都に住んでいた人)、話題にもなっていたので読んでみたら、結構肩の力を抜いて読める作品で、面白かったです(けしてinterestingな方の意味ではないけれど)。
ファンタジーっぽい内容ではあるけれど、地理的な面では事実に基づいています。僕自身、京都で学生生活を送っていたので、とにかく固有名詞がなつかしかったです。そういう意味でも楽しく読めました。

語り手(乙女ではない方)の学生生活の描写を読んでいて思ったのは、僕の学生生活ってもっと中途半端だったなあ、ということです。
語り手の学生生活っていうのは、思いっきりバカで、なんていうかある方向に振り切れた生活なのですが、僕の場合、もっと中途半端だったなあ、と。そこそこ無茶な飲み会もしたりしたし、バカな真似もしたのだけれど、一方でそこそこ真面目に研究もやってたし(教官が怖かったからですが)、かっこつけてクラブに入り浸るわけでもなく、かといってアニメやら宗教やらサブカルにいくわけでもなく、2ちゃんねらーでもなく、スポーツにいくわけでもなく、研究ばっかってわけでもなく、かっこつけないわけでもなく、振り切れない煮え切らない学生生活を送っていました。
そういう意味で、どこにも所属しえないような、そういう所在のなさを感じていた事を思い出しました。僕は何ていうか本当に何かにハマって、どこかきっちりとした居場所を見つけたいという気持ちの強い方なのだけれど。例えば、アニメだって2ちゃんねるだって何だっていいから、そういうものを見つけられる人の事が本当に羨ましかったのを思い出します。まあ、主人公が思っているような、そういう思いも彼女ができたら解決だ!みたいな「彼女万能説」みたいなものは高校時代で卒業しましたが、笑。
そういう気持ちは今だってけして消えたわけではなくって、おそらく一生抱え続けるんだろうな、と思います。

他の作品の方も評判がいいみたいなので、読んでみたいと思います。