2006-09-01から1ヶ月間の記事一覧

イッツ・オンリー・トーク

タイトル作と「第七障害」の2編の中篇を収録してます。オリジナルは2004年で芥川賞受賞に伴って文庫化したみたい。 「沖で待つ」でいいなあって思ったのですが、この作品で著者の世界に完全にはまりこんでしまいました。個人的には「第七障害」の方が分かり…

熱帯魚

東京湾景の原作者による2001年発行の短編集。「熱帯魚」「グリーンピース」「突風」の三作を収録。「グリーンピース」が、物語として物凄くおもしろかった。かいつまむと、主人公が彼女と喧嘩して仲直りするの話しなのだけれど、タッチがやたら明るくって、…

夕焼け

blogの趣旨とはずれるのだけれど、寮の屋上から夕焼けです。すごく綺麗だったので。

袋小路の男

タイトル作の他に「小田切孝の言い分」「アーリオ アーリオ」っていう2つの短編を収録。著者の作品は、実験的な色彩の濃い「イッツ・オンリー・トーク」みたいな作品と、沖で待つ」のようなじんわりと効いてくる作品との二つに分けられるのですが、この短編…

絲山秋子 / 沖で待つ

僕が初めて読んだ絲山秋子の小説。 著者は早稲田の政経を出た後、総合職として10年くらい働いていて、「総合職・女」ってことに強くアイデンティファイしてる感じがします。もちろん作品もそんな感じで、この本には2編の中篇が収録されているのだけれど、ど…

伊藤たかみ / ミカ×ミカ!

男女双子の中学生の生活を描いた物語。小学校時代を描いた「ミカ!」の続編。 歳の割に随分と大人びた語り手「ユウスケ」のナラティブがものすごく心地いいです。例えば、 そして、ふと思った。大人になると女の人が化粧したくなるのは、いろんな気持ちを隠…

ミカ! / 伊藤たかみ

芥川賞受賞者の旧作。 伊藤たかみは、高校のとき「ロスト・ストーリー」を読んで、それ以来ノーマークだった。その作品は、何ていうか、高校生の僕でも「ありがちだな」って思える感じだったし、いわゆるJ文学の台頭にのっかってる感じもあまり好きじゃなか…

吉田修一 / パーク・ライフ

僕が初めて読んだ吉田修一の小説。タイトル作を含めて2編を収録。タイトル作は、日比谷公園を舞台にして、複数の物語が交錯"しないで"走ってゆくのだけれど、でも全体としては何故かまとまりのある不思議な感じの小説。何ていうか、公園ってそういう場所で…

横山秀夫/クライマーズ・ハイ

友達に薦められて読んでみました。著者の本は初読。というより、こういうタイプの小説は読んだことはなかったです。けど、面白かった。何てカテゴライズすればいいのかなあ、社会派なんだろうか。新聞社のデスクをしていた主人公による、日航機墜落事故の際…

長嶋有 / 猛スピードで母は

著者の本は初読。タイトル作と「サイドカーに犬」という2編を収録。全体的に仄暗いトーンの落ち着いた文体。どちらの作品も子供が主人公で、かつあまり一般的にあまり恵まれていないと評されるような家庭環境(両親が離婚していたり、奔放な異性関係をもって…

保坂和志 / プレーンソング

著者の作品は初読でした。サラリーマンをやってるらしき30過ぎの主人公の日常を描いた、タイトルどおりプレーンなストーリーライン。物語とすら言えないかも知れない生活の描写。アプローチは全く違うのだけれど、明治・大正の私小説あるいは自然主義文学…

吉田修一 / パレード

共同生活を織り成す5人の男女の話。 5章構成なのだけれど、語り手が章ごとに変わって、5人の登場人物がそれぞれ語り手を務めるちょっと変わった話法を使ってます。 「ここで暮らしているのは私と直輝の2人きりよね。でも、ときどきね、私ここにもう一人誰か…

伊藤たかみ / リセット・ボタン

物語として面白かったです。ストーリーの進み方のテンポがよくって1日の通勤の往復だけで一気に読みきれました。自殺サイトで知り合った男女の話。恋愛小説って範疇に入るのかどうかはよく分からないけれど、まあそういうテイストも入りつつ。ここまで読ん…

はじめまして

どうも、synjiといいます。 ここでは、主に小説の感想を書いてゆきたいと思います。