横山秀夫/クライマーズ・ハイ

友達に薦められて読んでみました。著者の本は初読。というより、こういうタイプの小説は読んだことはなかったです。けど、面白かった。

何てカテゴライズすればいいのかなあ、社会派なんだろうか。新聞社のデスクをしていた主人公による、日航機墜落事故の際の地方新聞社の喧騒への回顧をベースに、父と子の関係がサブストーリーとして走ってます。

何事もそうであるように、綺麗事がそれだけで強度を持つわけではない。新聞社内の人間模様を織り交ぜ、そして主人公自身の心の揺れも交えつつ、それでも「ジャーナリズムとはどうあるべきか」という問いを読者に提示する作品であるように思います。

描写のリアルさが圧巻です。著者は実際、事故の際に記者として働いていたそうだけれど、でも誰でもをここまで描写できるかと言えばそれは違うと思う。すばらしい。

ちょっと、本筋から外れるかもしれないけれど、これだけ仕事に没頭できるのはやっぱりかっこいいと思います。