伊坂幸太郎/砂漠
- 作者: 伊坂幸太郎
- 出版社/メーカー: 実業之日本社
- 発売日: 2008/08/01
- メディア: 単行本
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著者の本はかなり読んでますが、その中でもかなり楽しんで読めました。
ちなみに、著者の作品では、「オーデュボンの祈り」が一番好きです。
この作品にとどまらず、著者の作品にはそこはかとなくモラトリアムな感覚が漂っているのですが、この作品は真正面からそれをとりあげた作品です。なんてったって大学生が主人公なのですから。
まあ、ここまで破天荒な学生時代をすごしたわけじゃないけれど、「学生時代のノリってあんな感じだったな」ってとても懐かしく読めました。
作中の登場人物がバカバカしいことにとても一生懸命なんですよね。
僕の学生時代も確かにモラトリアムではあったけれど、それなりに全力投球だった、かなと思います。
以下は、個人的な思いです。
今まで人生ふりかえってみて、やっぱ大学生の時って人生で一番楽しい時だったのかもしれないなと思います。外部環境だけみればそれは明らかで、4年間も働かなくていいわけだから(僕の場合は6年間もいったわけですが)、そりゃ楽しいに決まってますよね。
でも社会人になった今、「やっぱ大学生の時が一番楽しかった、あとの人生なんかつまんないことの連続だ」とか思って過ごしていいかというと、多分そうではなくて、確かに働かないといけないし、上司もうざいけど、それでも学生時代よりも楽しい!みたいな生き方を模索しないといけないな、って思っています。社会人だからとか働いてるからとか、そういうのを言い訳にせず、自分なりの楽しい事を見つけていかなきゃいけないな、と。
でもそういうのってきっと難しいですね。
ひとつだけネタバレしちゃうと、「砂漠」というタイトルは、「モラトリアムを終えて社会にでること」を「街から砂漠にでること」にたとえたところに由来しています。ううむ。
筆者の作品はテンポがよくてとても読みやすいです。