万城目学/鴨川ホルモー

鴨川ホルモー (角川文庫)

鴨川ホルモー (角川文庫)

著者の作品を読むのははじめて。
周囲の評判がよかったので読んだのですが、京都を舞台にした学生が主人公な作品というだけで親近感が湧いてしまうのを差し引いても面白かったです。っていうか、総人って久しぶりに聞けただけで、ちょっと嬉しくなってしまう。基本的におもいっきりバカな小説で、やっぱり森見登美彦と比較はしてしまうのですが、彼よりも素直な感じがします。ちょっとネタバレっぽくなってしまいますが、これ以上ないくらいのハッピーエンドだし。

自分語りになってしまうのですが、京都で学生を過ごしたという事は、僕にとってとっても貴重な出来事だったという事を強く再認識しました。周囲の友人達もそのようなことをよく言っているのですが。正直、どうせだったら東京で学生時代を過ごした方が、就職活動なんかにもよりコンシャスだっただろうし、もうちょっとイケメンになってコンパとかやってたかもしれない。でも、学生時代というモラトリアム(純粋にそうだとは言い難いのですが)、京都というロケーションで過ごした事で、宝物のような青春の思い出が、社会人として生活を送る場所とは別のところに、きちんとしまっておいておけているような気がします。そして、京都に戻ればいつでもそれを取り戻すことができるような気にすらなっています。この小説を読んで鴨川デルタや四条河原町の光景を思い出して、そういう思い出をちょっと取り出したような気分になりました。

本作は映画化されていてBase Ball Bearが主題歌を担当しているみたいですね。Base Ball Bearも僕は大好きでちょっと年下のバンドなんだけど、青すぎるほど青くて素敵なバンドです。映画も見てみたいなあと思います。