伊藤たかみ / ミカ×ミカ!

男女双子の中学生の生活を描いた物語。小学校時代を描いた「ミカ！」の続編。
歳の割に随分と大人びた語り手「ユウスケ」のナラティブがものすごく心地いいです。

例えば、

そして、ふと思った。大人になると女の人が化粧したくなるのは、いろんな気持ちを隠すためじゃないかなって。嫌いじゃないのに嫌いなふり。楽しくないのに楽しいふり。泣いてるけどわらってるふり。そうしないといけないときが、増えるせいじゃない。

こういう、大人に語らせたらちょっと気障だったり、説教くさかったりするフレージングが使えるのが、子供を語り手にするメリットなのかもしれないなって思います。この手のフレーズは「ライ麦畑」しかり、僕は大好きです。

今回は恋愛がテーマ。そして、個人的には「理解すること、理解して欲しいと思うこと」に関して考えさせられることが多かったです。何故、人を好きになるとその人に自分を理解して欲しいと思うのだろう。偽りの自分を見せて愛されるだけで、満足できないのだろう。
もちろん、上述したような名文句がいっぱいでてきます。