伊藤たかみ/17歳のヒット・パレード(B面)

1996年の作品。著者のデビュー2作目、だと思う。60年代〜70年代のヒットソングに乗って、17歳の男女二人が狂騒的な夏を過ごして、そして死に至るというストーリー。

著者にしては珍しく物語としての世界観が、何ていうか現実離れしています。17歳の高校生が死に場所を探してやってきたのがリゾートホテルっていうのは、何ていうか、わが国ではあんまり考えられない。
そのようなロケーションを選んだ効果というのは、端的に現れていて、破滅的なポップカルチャーというかアメリカンテイストというか、(その時代を共有していない者が抱く)ヒッピー臭さというかいうか、そういう感じが著者の作風にミックスされた感じで、若干新鮮に読むことができました(僕のように彼の作品を立て続けに読んでる読者としては)。そのような雰囲気は、村上龍の「限りなく透明に近いブルー」を思い出します。

以前にも書いたのだけれど、著者の若さ観には一貫したものがあって、それは読む人を選ぶと思うのだけれど、この作品はそれが物凄くプリミティブな形で現れていて、著者の作品の中でも読む人を選ぶ作品ではないかと思います。でも、僕は嫌いではないです。でも、なら「アンダーマイサム」だけ読めばいいっていう反駁には応えられないんですよね。

タイトルを見て思い出したのは「17歳のカルテ」。17歳って国を問わず、何か特別な意味が付与されているんでしょうか。発達心理学的には、何かあったような気がします(忘れたけど)。