吉本ばなな/キッチン

オリジナルは確か80年代、だったはず。というわけで、コンテンポラリーかと言えばそうではない作品で、かつ半古典化している作品ですよね。複数の人から薦められてたのにも関わらず、最近まで読んだことのなかった作家・小説でした。
結論としては、物凄くよかったです。もっと早く読んでおきたかったと感じた作品だし、作家でもあります。

3篇の短編集なのだけれど、どの作品にも「死」があって、それがテーマになっています。筋だけみるとメロドラマにでもなってしまいそうなんだけれど、なんかそうならない所がたまらなく好きです。
著者の「死」対するアティチュードは、なんていうか独特のものがあって、この作品だけではなんとも言いがたいところがあると感じました。次に著者の作品のレビューを書く時までに、自分なりに考えてみたいと思います。

文章は口語に近くって大学生の女の子が実際に独り言を言ってるみたいな感じです。それだけに時代を経てちょっと古いなっていう表現もありますが(「おセンチ」とか)、ものすごくいい感じなんですよね。シンプルで清潔で、仰々しさがあまりないのに、ゆっくり伝わってくる感じの文章。好きです。